歯周病は見た目でわかる?原因やなりやすい人・対策なども詳しく紹介
medical column歯周病は自覚症状に乏しく気づかないうちに進行していく病気ですが、症状や原因が見た目で分かる場合があります。
歯周病になりやすい人にはいくつかの特徴があるため、予防や早期発見のきっかけにできるかもしれません。
この記事では、歯周病の症状や外観、特徴などの見て分かる判断材料や、歯周病かもしれないと気付いた場合にするべきことなどを紹介します。
全く自覚症状がないけれど当てはまるものがもしあったら、歯科検診を受けてみましょう。
歯周病の見た目とは?
歯周病は初期段階の自覚症状が少なく、見た目でもそれほど目立つ様子は感じられません。
そのため、疑わしい症状が出始める頃にはすでに中等度程度に悪化している可能性があります。
ここでは、見た目で分かる歯周病の症状について紹介します。
歯茎から血が出る
歯茎から血が出る症状は、傷などがない限りほとんどが歯肉炎か歯周炎、つまり『歯周病』です。
歯茎からの出血は特に珍しくないため痛みなどがなければ放置されやすく、歯周病が原因の場合でも初期のうちは必要な対処がされないことが多くあります。
しかし出血を歯周病の初期症状として発見できれば、早期に治療が開始できます。
出血が頻繁で、なかなか止まらない、歯茎の腫れや痛みが強い、あちこちから出血するなどの場合は歯周病が悪化している可能性があるため、なるべく早く受診しましょう。
歯茎の腫れ
初期のうちはあまり目立ちませんが、炎症を起こしたり歯周病が進行し中等度になってくると歯茎が腫れてきます。
初期のうちは痛みが少なく、気付きにくかったり様子を見てしまったりするため、治療が遅れがちです。
時々痛むようになったら、段階的に中等度から重度程度です。そこを過ぎると歯がぐらついてきます。
手遅れの一歩手前だと思いましょう。
歯茎の色
健康な歯茎は薄いピンク色をしていますが、歯周病になると歯と歯茎の境目から赤みを帯びてきます。
やはり初期には痛みがないため多少の赤みは気にならず、発見が遅れます。
悪化するにつれ痛みは徐々に表れ、色も茶褐色程度に変化するため、そうなる前に気付けた場合は、歯周病治療を念頭においたケアを始めたほうがいいでしょう。
歯茎から膿が出る
歯茎から出る膿は、白やクリーム色、黄色や黄緑色などの不透明な粘液です。
歯茎が腫れたり口臭がしたりするのに発見が遅れるのは、痛みがないことが多いためです。
慢性的に膿が出てくる状態は歯周病の特に症状が進んだ状態で『歯槽膿漏』とも呼ばれ、出血を伴う場合もあります。
免疫力が落ちると急性化して、強い痛みが出る場合があります。排膿すると痛みが和らぎます。
しかし根本を治療しないと膿はなくならないため、自分で膿を出したりせず、まずは歯科医院を受診しましょう。
歯茎が下がって歯が長く見える
歯茎が下がる原因は、年齢や過度なブラッシング・歯ぎしりなどの癖の他に、歯周病があります。
歯周病が原因の場合、歯を支える骨が溶けるために骨を覆っている歯茎も退縮していって、そのうち歯茎に隠れていた部分が露出するため、歯が長く見えます。放置すると歯根が見えてきます。
実際は初期でも下がり始めますが、歯根が見えてきたら重度のため、歯が抜けてしまう前に歯周病の治療を始めましょう。
被せものと歯茎の間に隙間がある
虫歯の治療のために被せものをしている場合、上述のように歯周病や年齢や噛み合わせ・癖などが原因で歯茎が下がると、被せものと歯茎の間に隙間ができます。
そうなると歯磨きをしても磨き残しが発生しやすくなるため、歯垢が溜まりやすい場所となります。
被せものと歯茎の隙間は気をつけていれば見つけやすく、虫歯予防にもなるため、よくチェックしておきましょう。
歯周病の原因も見た目でわかる
歯周病発症の原因は歯垢ですが、歯垢を放置すると、唾液中のミネラル成分によって固い歯石となります。
細菌にとっては栄養豊富なたまり場で、歯周病の悪化の原因です。
ここでは、歯垢や歯石など、見た目で分かる歯周病の原因を紹介します。
歯垢
歯周病の原因として有名な歯垢は、歯の表面や歯間に付着したり、歯周ポケットに入り込んだりして増える、黄色みがかった白くてネバついたヘドロのような見た目の、細菌の塊です。
食べかすが歯と歯茎の境目に溜まったり歯茎の中に入り込み、口の中の多種多様に存在する常在菌によって、歯垢になります。
食べかすは虫歯と歯周病のどちらの原因でもありますが、虫歯菌は酸素のある状態で活発に増殖し、嫌気性の歯周病菌は歯周ポケットで増殖し、それぞれ歯垢になったあと、バイオフィルム(膜)を形成します。
バイオフィルムになると歯科医院のクリーニングでなければ除去が難しくなるため、歯垢を発見した時点できれいに取り除くことが重要です。
白い歯石
白い歯石は『歯肉縁上歯石』といい、歯垢によく似た黄白色をしているため、歯の一部のようにも見えます。
非常に小さな空洞によって表面がざらついている軽石状で、歯垢や食べかすが溜まりやすく、元々が歯垢のため栄養分も含まれる、菌にとっては絶好の環境です。
軽石状といってもその硬さは石のようで、放置するほど硬くなっていきます。
歯科医院での超音波スケーラーという器具によるスケーリングで削り取って除去しますが、歯が削れることはなく、痛みはほとんどないため麻酔は不要です。
付きやすい場所は唾液腺が開口している下前歯の裏側や上奥歯の頬側などで見やすいため、気になる人は確認してみましょう。
黒い歯石
黒い歯石は『歯肉縁下歯石』といい、歯周ポケットに隠れている部分につきます。
黒い色には2つの理由があって、一つは血液成分の鉄の色素がつくからとされています。
もう1つは、歯茎内に生息している歯周病菌『P.G菌』が、黒い色素を出すためです。
歯周病が進行して歯茎が下がってくると見えてくるため、虫歯によく似た様相が見られます。歯科医には見分けがつくため虫歯として治療されることはありません。
しかし、黒い歯石が見えるのは歯周病が中等度~重度まで進行している証拠のため、歯周病治療をしていない人は迷わず受診しないと手遅れになります。
歯周病になりやすい人
健康状態や生活習慣などにより、歯周病になりやすい人もいます。
見た目で歯周病とわかるということは病気が進行している証拠です。
以下に当てはまる方は、自覚症状がない場合でも歯科医院で定期検診を受けて、歯周病予防や悪化防止に努めましょう。
妊婦の人
妊娠中の人はホルモンバランスが変化することで、歯茎が腫れやすくなるといわれ、『妊娠性歯肉炎』という別名もあるほど、歯周病にかかりやすいことがあきらかになっています。
つわりの吐き気などで口腔内管理が不十分になるのも、リスクが高まる原因の一つとされています。
ほかにも、歯周病は免疫バランスを崩すため、早産や未熟児の原因になる可能性もあるなど、さまざまな影響があります。
妊娠中の人は歯科検診が推奨されています。安定期に入ると治療も可能になるため、歯科医師と相談しながら歯周病を予防・治療しましょう。
持病がある人
持病を持っている人は、その病気や治療のための服薬によって、歯周病になる可能性が高くなります。
多いのは糖尿病で、血糖値が高いと白血球の働きが低下して歯周病菌に感染しやすくなるのと、歯周病菌が血液中に入るとインスリンの働きを低下させて血糖値を上げるためです。
薬の副作用では抗てんかん薬や高血圧薬・免疫抑制薬などを服用している場合、歯茎を肥大させる副作用で歯茎が腫れやすくなります。
またストレスの強い人も、緊張による唾液の減少や免疫力の低下のため、歯周病に対抗できなくなります。
治療やストレスに対処しながら、歯科検診を積極的に受ける・正しいブラッシングを身に着けるなどが予防や対策となるでしょう。
歯並びが悪い人
歯並びが悪い人は歯ブラシが届きにくかったり磨き残しができやすかったりするため歯垢がつきやすく、歯周病にもなりやすいといわれています。
歯列矯正は歯周病の治療の一部として認識されていて『歯周矯正治療』と呼ばれています。
しかし一般の歯科医院では歯周病の治療はしても矯正はしていないところや、逆に矯正は行っても歯の治療はしないところもあります。
歯並びが悪くて歯周病が気になる人は、矯正も治療もでき、なおかつ歯周病の専門医師が在籍しているかどうかなどを確認しながら、歯科医院を選びましょう。
中高年・特に40代の女性
中高年の人は加齢により唾液の量が減ってくるため、口腔内の汚れが落ちにくくなり、細菌が繁殖しやすくなって歯周病になる人が多くなります。
そして歯周病は女性の方がかかりやすい病気です。
特に40代を過ぎるとホルモンの分泌量が大きく減少することで骨粗しょう症にかかる女性が増加し、歯を支える骨にも影響を与えます。
歯周病が進行しやすくなるため、特に40歳を過ぎた女性は3~6ヶ月に1回程度は歯のメンテナンスを予定に入れましょう。
歯磨きの習慣がない人・歯磨きが苦手な人
当然のことながら、歯磨きをしない人や苦手な人は、歯周病にかかりやすくなります。
歯周病の原因は歯に付いた歯垢ですが、それをきれいに落とすためには、正しい歯磨きの仕方と、十分な回数が必要です。
しかしそれでも歯ブラシだけでは完全に歯垢を落とすことはできないとされており、デンタルフロスや歯間ブラシの併用が推奨されています。
歯科検診のときに歯ブラシやデンタルケアグッズの使い方を教えてもらいましょう。
甘いお菓子・柔らかい食べ物が好きな人
甘いものや柔らかいものを摂り過ぎると歯周病になりやすいので気をつけましょう。
歯垢中の細菌は糖をエサにして増え、歯周病だけでなく虫歯の原因にもなります。
また、柔らかいものは口腔内に留まりやすく、歯垢が形成されやすくなります。摂り過ぎには注意しましょう。
タバコを吸う人
タバコに含まれる化学物質は歯茎の中の血管を収縮して血流を妨げ免疫機能を低下させ、タールは粘性があるため歯垢が付着しやすくなります。
酸素や栄養が十分に届かず治りが遅くなったり、痛みや腫れにも気づきにくくなったりするため、発見が遅れ、悪化を促します。
いきなり禁煙は無理でも本数を減らすことが大切です。少しずつ減煙してみましょう。
口呼吸の人
口呼吸をしていると口腔内が乾燥し、唾液による自浄作用が失われ、細菌が繁殖しやすくなります。
口呼吸の原因は噛み合わせの問題が関係している場合があるため、歯列矯正が有効な治療法です。
歯ぎしり・食いしばりをする人
歯ぎしり・食いしばりがあると、食事のときの3倍近い負担がかかるため、歯茎が下がったり、骨が吸収(骨が溶けること)されます。
歯茎が下がると食べかすが詰まりやすくなります。そのため、歯ぎしりや食いしばりは歯周病の発症原因となり、悪化につながります。
家族の人などに協力してもらい、歯ぎしりしていないかチェックしてみて、しているようなら受診・相談してみましょう。
「歯周病かな?」と思ったら
歯周病を疑っている場合、以下の対応をおすすめします。
- 丁寧な歯磨きを心がける
- まずは歯科医院を受診する
- 歯科検診を受ける
- 手遅れだと決めつけずに相談する
受診せずに自分で治そうとするとその間に進行する可能性があるため、普段以上に丁寧な歯磨きを実践しつつ、速やかに受診しましょう。
歯周病治療は痛いイメージがあるかもしれませんが、治療自体は麻酔を使うため痛くありません。歯科検診も痛くありません。
そして重度に進行してしまった場合でも、歯を残すための『歯周組織再生療法』など、治療法はさまざまあります。
まずは歯科医院を受診し、なるべく早めに治療を開始することが大切です。
まとめ
歯周病は見た目で分かる場合もありますが、少しずつの変化には気づきにくいのが普通です。
やはり毎日の歯磨きの際に異変を見逃さないことや、見ること以外で感じる痛みや違和感から目を逸らさないことが一番の予防といえるでしょう。
AKIデンタルクリニック・矯正歯科医院では、一般的な治療である保険診療から、矯正・インプラント・歯周病再生医療まで、歯のトラブルに対して総合的に対応します。
「これはもしかして歯周病?」「今から見せても、もう遅い?」と悩むよりも、まずはAKIデンタルクリニック・矯正歯科医院にご相談ください。
ぜひ早期発見につなげましょう。