矯正歯科は虫歯を教えてくれないって本当?噂の真相や対処法を解説
medical column歯列矯正を始めるとき、『虫歯になったらどうしたらいいの?』という心配は多かれ少なかれ考えてしまうものです。
いろいろと調べてみて、矯正歯科は虫歯を教えてくれないのでは、などの噂を聞くかもしれません。
しかし、それは本当なのでしょうか?
この記事では、噂の真相とその理由、虫歯にならないための対処法を紹介します。
これから矯正を考えている、矯正中で不安があるなどの人は、ぜひ参考にしてください。
矯正歯科では虫歯を教えてくれないのか
まず始めに、『矯正歯科では虫歯を教えてくれないのか』という噂ですが、結論から言うとそんなことはありません。
虫歯を発見した場合、治療が必要な虫歯はどうするのでしょうか。
ここでは矯正歯科で虫歯を発見したらどうするか、詳しく解説していきます。
矯正歯科医が虫歯を発見した場合
矯正歯科医も歯科医であるため、虫歯を発見したら治療を促すのは義務です。
虫歯を見つけてわかっているのに何も言わずに放置している、ということはありません。
部位や進行度により、矯正治療を中断して虫歯治療を優先させなければならない場合もあります。
矯正治療中に虫歯を発見し、治療の必要があると判断したら、矯正歯科での対処は基本的に以下の3つです。
- 患者さんのかかりつけ歯科医での治療を勧める
- 連携をとっている一般歯科医に依頼
- 一般歯科も行っている矯正歯科の場合、そのまま治療可能
矯正専門の場合は虫歯治療を行っていないため、一般歯科での治療を行う必要があります。
患者さんのかかりつけ歯科医があればそこへ、なければ矯正歯科で連携している一般歯科医への紹介状を書いてもらうなど、矯正歯科以外で虫歯治療をします。
同じ歯科で矯正と虫歯治療ができるならば、同じ先生に診てもらえるという安心感もあるかもしれません。
最初に矯正歯科を選ぶときに、どのパターンに当てはまっているのか確認しておくと良いでしょう。
虫歯を見落とすケースがある
前述したように、矯正歯科医も歯科医であるため、虫歯を発見したら治療を促す義務があります。
噂になってしまっている理由として、虫歯を発見しても教えてくれないのではなく、見落とすケースがあるのです。
小さい虫歯は発見してもそのまま治療する場合もありますが、患者さんにも虫歯があることを共有し、効果的なケア方法のアドバイスを行います。
しかし、見落としてしまった場合は矯正歯科で虫歯に気づかず、痛みが出たり一般歯科で指摘されて初めて気づくことになるかもしれません。
ではなぜ見落とすケースがあるのか、次項で解説します。
矯正歯科が虫歯を見落とす理由
矯正歯科が虫歯を見落としてしまうのは、以下の理由が多いです。
どうしてなのかを知り、対策を考える参考にしてください。
矯正治療前に虫歯治療を終えているケースが多い
矯正歯科によりますが、最初のカウンセリングと並行して口内チェックをします。
同クリニックで一般歯科も行う場合はそこで相談できますが、行っていない場合はかかりつけ歯科や連携先への紹介で、虫歯や歯周病のチェックと必要なら治療をしてから、矯正治療を開始するのです。
虫歯の治療で歯の形が変わったり、抜歯しなければいけなかったり、矯正計画に影響が出てしまう可能性があるため、矯正開始時に虫歯がない状態でスタートするのが前提となります。
矯正器具をつけたままの虫歯治療は、部位や程度によって難しいこともあり、器具の取り付け前に虫歯治療を終えておくように矯正医師から指示がある場合もあります。
矯正治療を開始して歯並びが変わることで隠れていた虫歯が見つかったり、後から小さな虫歯が発生したり、虫歯がないのが前提のため見落としてしまう可能性もあります。
クリーニングを行わない矯正歯科がある
矯正器具の調整時、歯のクリーニングを行うかは矯正歯科により異なります。
クリーニングに力を入れていて毎回行う矯正歯科もあれば、クリーニングは患者さんにお任せの矯正歯科もあるなど、さまざまです。
歯の汚れや歯石がついたままだと、隠れた虫歯の発見が遅れて見落としてしまうかもしれません。
クリーニングを行わない矯正歯科では見落とす可能性が高くなってしまいます。
矯正歯科でクリーニングを行っているか、別で費用がかかるのかなど、事前に確認しておきましょう。
見つけにくい虫歯がある
見た目でわかりづらく、見つけにくい虫歯だったというケースもあります。
詰め物・被せものの下の虫歯や、歯と歯の間の隣接面などは目視できないため、発見するにはレントゲン検査やマイクロスコープ、歯科用CTなどで検査しなければなりません。
矯正治療では基本的に歯並びや歯の動きを診ているため、毎回レントゲンを撮るわけではなく、虫歯発見のための検査はしないのがほとんどです。
また、治療期間中に虫歯になった場合、タイミングにより見逃す可能性があります。
矯正中でも3~4ヵ月ごとに定期検診を受けるなど、虫歯のプロに診察してもらうと安心です。
矯正中の痛みがある
矯正していないときに歯が痛ければ、虫歯かもしれないと思い当たるでしょう。
しかし、矯正中の場合は、痛みの原因が矯正中のためか虫歯のためかが曖昧になってしまいます。
矯正装置をつけて間もなかったり、調整をしてから数日だったり、慣れるまでは歯が動く際に痛みを感じることがあります。
圧迫感のような違和感や響くような痛みがある場合が多く、虫歯の痛みなのか自分では判別がつきづらいかもしれません。
心配なときは矯正歯科やかかりつけ医に相談してください。
矯正治療を優先している
矯正歯科の中には、矯正の進行度や歯並びを中心に診ていて、虫歯は患者さんのかかりつけ医など、他の一般歯科に任せているため虫歯があるか詳しくチェックしていないクリニックもあります。
また、小さな虫歯など、今すぐ治療の必要性が高くない場合は、そのまま矯正を続ける場合もあるのです。
虫歯ができやすいとわかっていたり、歯磨きが十分か心配だったり、虫歯ができているか心配な人は毎回の受診時に矯正医師に虫歯の有無を聞いてみて、必要なら一般歯科にかかった方が良いかを確認しましょう。
矯正専門の歯科医の場合
矯正専門の歯科医は、虫歯治療の経験がほとんどないという先生も多く、虫歯の発見自体が難しい場合があります。
経験が多くないと見つけられない虫歯があるのは事実なため、わかりづらい虫歯は矯正専門の歯科医が見落としてしまう可能性が高いでしょう。
専門の違いと経験の有無によるものであり、一般歯科のプロの力が必要となるところです。
このため、前述したように矯正中は3~4ヵ月ごとに一般歯科での診察を受けることをおすすめします。
矯正後に虫歯だらけにならないために
矯正中は虫歯のリスクが高くなります。
矯正後に虫歯だらけになってしまうのを防ぐには、早期に虫歯に気づくことと、何よりも虫歯予防に力を入れることが大事です。
ワイヤー矯正では器具を装着したままの歯磨きを丁寧にしなければならず、マウスピース矯正ではつけ外しの際に必ず歯磨きとマウスピースの洗浄をしっかりしなければいけません。
汚れ落ちが不十分だった場合、虫歯になるリスクが高まってしまいます。
矯正中の虫歯治療で矯正を中断してしまうと、当初の計画通りに矯正が進められない可能性があるため、噛み合わせや歯の形の変化による矯正装置の再調整など、予定外の費用や時間がかかってしまうかもしれません。
移動させてきた歯が中断期間中に後戻りしてしまうと、やはりその分時間をかけなくてはならず、予定よりも期間が長くなってしまうでしょう。
歯列矯正中の虫歯予防
虫歯予防にはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
ここでは、歯列矯正中の虫歯予防で気をつけたい大事なポイントを詳しく説明します。
毎日の歯磨きでよく観察する
毎日の歯磨きは矯正中は虫歯予防において特に大切なため、正しい歯磨き方法を学びましょう。
歯ブラシだけでなくフロスなどを使うと、虫歯を見分けにくい歯と歯の間に引っかかる感覚やフロスのささくれがあるため、虫歯があるかもと気づきやすくなるためおすすめです。
使う道具などは矯正歯科で紹介されることも多く、矯正方法に適したものを紹介してもらい丁寧に磨きましょう。
歯磨きの時間に虫歯がないかとよく観察して、違和感を見逃さないようにしてください。
矯正装置を清潔に保つ
歯磨きでは歯だけでなく、装着している矯正装置も清潔に保ちましょう。
装置に汚れが残っていると、虫歯の原因になってしまいます。
ワイヤー矯正では、歯にブラケットという器具をつけてワイヤーを通す方法で、間に食べ物が挟まりやすいため注意してください。
食後は必ず歯磨きと共に装置もブラッシングして、フロスや歯間ブラシなども活用しながら隙間の汚れもきれいにします。
マウスピース矯正の場合も、食後の歯磨きは必須です。
再装着の前にはマウスピースを洗浄して、歯もマウスピースも清潔な状態で装着してください。
定期検診を受ける
歯列矯正中は3~4ヵ月ごとに定期検診を受けると良いでしょう。
定期検診の際に、口腔ケアや正しい歯の磨き方を学んでおくと、虫歯予防に役立ちます。
歯のクリーニングを行ってもらえば、虫歯はもちろん歯周病の予防にもなるため、口内の健康を保てて安心です。
また、虫歯ができてしまっても早期に発見できれば、矯正に影響しない治療ができる可能性も高くなります。
定期検診を受けていれば、矯正装置を外さないと治療できないほど進行してしまうリスクを回避できて、矯正計画がスムーズに進められるでしょう。
矯正歯科と一般歯科の両方に通う
矯正中は虫歯になりやすいため、一般歯科の定期検診に通いましょう。
また、かかりつけ医に矯正することを相談して、矯正中の虫歯予防のための正しい歯磨き方法を聞いたり、気をつけるポイントを教えてもらってください。
以前よりも頻繁な定期検診で、万が一虫歯になったとしても早期発見できる可能性が高くなります。
両方に通うのが大変と感じるならば、矯正歯科と一般歯科の両方を行ってくれる歯科医がおすすめです。
同じ場所で便利なのはもちろん、歯の状態や矯正の進行を把握していて、検査のタイミングも必要なときに行えます。
担当歯科医が同じとは限らないため、心配な場合は矯正歯科と一般歯科の両方の経験がある歯科医が、検診や虫歯治療も行う小規模のクリニックを選ぶと良いかもしれません。
毎回の処置時に虫歯の有無を聞いてみる
矯正医師は歯並びや歯の動きを中心に口内を見ています。
虫歯の心配がある人は、毎回の処置時のタイミングで虫歯の有無を自分から聞いてみましょう。
専門ではなくても、注意して探したら虫歯を発見する場合もあります。
自分では見れない歯の裏や奥の細かい所を見てもらうためにも、積極的に虫歯の有無を聞いてみましょう。
また、虫歯に対しての意識や対応をどう捉えているのかを、最初のカウンセリングの段階で確認しておくと良いでしょう。
矯正歯科をしっかり選ぶ
矯正歯科を選ぶ際に、虫歯に対してどんな対応をしてくれるのかを見極めるのも必要です。
具体的には、以下のような項目を確認しましょう。
- 虫歯になったときに紹介状を書いてくれるか
- 連携している一般歯科があるかどうか
- 虫歯治療も行ってくれる歯科医かどうか
- クリーニングをしてくれるか
これらは初診カウンセリングで聞けばわかるため、矯正歯科を決めるときは前もって確認しておきましょう。
虫歯を発見して一般歯科で治療するときに、矯正歯科から紹介状をもらったり、連携している一般歯科に紹介してもらえるとわかっていれば安心です。
クリーニングは歯や口内の健康を保つのに非常に大事なので、一般歯科へ通うか矯正歯科でやってくれるのかは確認しておきましょう。
特に一般歯科診療も可能な矯正歯科の場合、虫歯を治す前に相談に行く方が治療費や期間の節約になる場合があります。
抜歯が必要かの判断や治療の進め方など、おおよその見当をつけられて、虫歯の治療をする前にこれからの虫歯治療を見据えての矯正計画が立ててもらえるからです。
先に虫歯治療を行っても、矯正で抜歯しなければいけない歯だったということもあり、治療費や時間が余計にかかってしまっていたという結果になってしまうかもしれません。
虫歯になりにくい食生活を送る
普段の生活はもちろん、歯列矯正中は特に虫歯になりにくい食生活に気をつけてください。
虫歯菌と糖質により虫歯が発生するため、糖分を含む食べ物には注意しましょう。
- 甘いもの
- 歯にくっつくもの
- 粘度が高いもの
- 口の中に長くたまりやすいもの
キャラメルやチョコレート、ガム、飴、スポーツ飲料、ジュースなどは上記の条件を満たしてしまうため、なるべく避けるようにしてください。
通常の食事の後はすぐ歯磨きをして、口の中に食べ物を残さないように気をつけます。
また、外食などで歯磨きができない場合は、水やお茶で口をすすぐのも良いでしょう。
まとめ
『矯正歯科は虫歯を教えてくれない』との噂があるのは、故意に教えないわけではなく、見落としや見つけにくい虫歯であったためです。
矯正歯科医も歯科医であるため、虫歯を発見したら治療を促す義務があります。
しかし、虫歯にならないように予防して、なってしまった場合は早期に気づくのも大事なことです。
無事に歯列矯正を完了できるように、虫歯にならない努力をしていきましょう。
AKIデンタルクリニック・矯正歯科医院は矯正歯科だけでなく、虫歯治療を含む一般歯科にも力を入れております。
矯正診断は無料で相談できるため、虫歯の不安を抱えているけれど歯列矯正をしたいとお悩みの方は、ぜひお気軽にAKIデンタルクリニック・矯正歯科医院へご相談ください。