

インプラントが保険適用になる条件は?損をしないために知っておきたい情報を紹介
medical columnインプラントは人工歯の一つで、一般的な虫歯や歯周病の治療とは異なり基本的に保険が適用されず、ほとんどが自費診療になります。
ケースによっては保険適用になりますが、そのためには複数の条件を満たす必要があります。
インプラント治療は高額になりやすいため、自分がどのケースに当てはまるのか確認し、納得したうえで受けることが大切です。
この記事では、インプラントが保険適用になる条件や、費用を抑えて治療を受けるための工夫について紹介します。
インプラント治療を検討している人や、費用に悩んでいる人は参考にしてください。
インプラント治療に保険が適用されるケース
インプラント治療は、以下のケースで保険が適用になります。
先天性の疾患がある場合
生まれつき顎骨の欠損や形成不全がある場合は、インプラント治療が保険適用になります。
具体的には、腫瘍や顎骨骨髄炎など顎骨が連続して欠損するリスクがある先天性の疾患が原因で、顎骨が1/3以上欠損している場合と、形成不全である場合が当てはまります。
また、非症候性部分性無歯により生まれつき生えていない歯が6本以上ある場合も保険適用の対象です。
インプラント治療を保険適用で受けるためには、先天性の疾患による顎骨の欠損・形成不全があると診断されることが必要です。
事故や外傷が原因で顎骨が欠損した場合
第三者による事故や外傷が原因で顎骨が広範囲に渡って欠損した場合は、顎骨を移植によって再建した場合でもインプラント治療に保険が適用されます。
これらの状況下にある場合、ブリッジや入れ歯などインプラント以外の義歯治療では咀嚼機能の回復が見込めないため、インプラント治療が保険適用で受けられます。
自身がどのケースに当てはまるのか判断するのが難しい場合は、一度かかりつけの歯科医に相談しましょう。
インプラントに保険が適用されないケース
以下のケースでは、インプラント治療での保険が適用外になります。
虫歯や歯周病で歯を失った場合
虫歯や歯周病で歯を失った場合は、インプラント治療に保険が適用されません。
虫歯や歯周病の治療や抜歯などには保険が適用されますが、高額なインプラントを使用しなくても保険適用内で治療できるブリッジや入れ歯を使用すれば必要な歯の機能回復が見込めるためです。
虫歯や歯周病は元々健康な歯を持っている人でもなり得る疾患であるため、後天的な要因であると判断されます。
加齢が原因で歯を失った場合
加齢が原因で歯を失った場合、インプラント治療は保険適用外になります。
加齢も後天的な要因であり、虫歯や歯周病で歯を失ったケースも含め、これらの場合はブリッジや入れ歯で十分な咀嚼機能の向上が見込めるため、原則的に保険は適用されません。
インプラントが保険適用になる医療機関の条件
インプラント治療を保険適用で受けるためには、治療を受ける人だけではなく、受診する医療機関にも以下のような条件があります。
- 歯科または口腔外科を標榜している保険医療機関である
- 当該診療科に係る経験が5年以上、または当該療養の3年以上の経験がある常勤の歯科医師が2名以上配置されている
- 入院用のベッドを20床以上保有していて、当直体制が整備されている病院である
- 医療機器保守管理及び医薬品に係る安全確保のための体制が整備されている
インプラント治療を保険適用で受けるためには、基準を満たした設備や環境が整った病院で受ける必要があります。
歯を失った理由、治療を受ける病院の体制、インプラント以外の治療で咀嚼機能が回復しないなどの条件がすべて揃った場合にのみ保険が適用されます。
そのため、一般的な歯科クリニックでは自由診療になることがほとんどです。
先天性の疾患や事故による外傷で歯を失った場合でも、条件を満たした病院でなければ保険適用にならないため注意しましょう。
自費診療で受けるインプラント治療の料金相場
自費診療で受けるインプラント治療の一本当たりの料金相場は以下の通りです。
内容 | 料金 |
---|---|
インプラント(前歯) | 50,000~200,000円 |
インプラント(奥歯) | 50,000~180,000円 |
診察・検査 | 15,000~50,000円 |
手術費用 | 150,000~350,000円 |
総額 | 300,000~600,000円 |
自費診療で受けるインプラント治療は、受診する歯科医院やインプラントの種類などで料金が大きく異なります。
基本的に前歯と奥歯で料金の差はありませんが、前歯はより高い審美性が求められるため、見た目を整えるためにコストが高くなるケースがあります。
素材によって高額になる場合もあるため、何を重視して選択するか慎重に検討することが大切です。
またインプラント治療の料金は地域差によっても異なり、都心部ほど高額になる傾向にあります。
しかし、料金を抑えるために自宅から離れた歯科医院を選択すると、メンテナンスの通院で交通費が嵩む可能性が考えられるため、総合的に判断したうえで検討しましょう。
インプラントの治療費を抑える方法
インプラントは高額になる治療のため、以下の方法で治療費を抑える工夫をしましょう。
医療費控除の申請を行う
インプラント治療を受ける際は、医療費控除の申請を検討しましょう。
医療費控除とは、1年間で支払った医療費が規定額を超えた場合に税金が減額になる制度です。
治療費以外に、通院時に使用したバスやタクシーなどの交通費や処方薬の料金も控除の対象になります。
利用を希望する場合は忘れずに手続きしましょう。
高額療養費制度を利用する
保険適用のインプラント治療を受ける場合は、高額療養費制度を利用しましょう。
高額療養費制度は、保険適用で受けた治療の費用が上限を超えた際に一部が返還される制度です。
自費診療でかかった医療費に対しては適用外ですが、先天性の疾患や事故が原因で歯を失った場合は、利用してインプラントの治療費を減額することをおすすめします。
料金を比較して歯科医院を選択する
インプラント治療の歯科医院を選択する際は、候補をいくつか挙げて料金を比較しましょう。
インプラント治療は自費診療になるケースが多く、歯科医院ごとに料金が異なるため、よく調べて決定することが大切です。
インプラントはメーカーによって料金が異なる場合もあり、品質や安全性を重視した製品は高額になる傾向があります。
費用が高ければ安心、ということはありませんが、価格のみを判断して選ぶとトラブルのもとになるリスクがあります。
料金を予算内に収めることは大切ですが、メーカーや受診する歯科医院の実績などを総合的に判断し、慎重に選択しましょう。
クレジット支払いやデンタルローンを利用する
インプラント治療は、クレジットカードでの分割払いやデンタルローンを利用することで1回の出費を抑えて受けられます。
自費診療でのインプラント治療は料金が高いため、一括で支払うのが難しい場合は検討してみましょう。
ただし、これらの支払い方法では利息が発生する可能性があるため、トータルの金額が割高になる可能性があります。
条件をよく確認し、総額でいくらかかるのか自分でイメージしておくとよいでしょう。
大切な歯を失わないためには
インプラント治療は高額になりやすいため、以下のような工夫をすることで普段から歯を失わないように健康を保つ意識をして生活することが大切です。
虫歯・歯周病予防をする
虫歯や歯周病を予防したり、早めに治療したりすることで歯を健康に保ちましょう。
虫歯や歯周病は歯を失う主な後天的要因であるため、予防や早めの治療によって歯の健康を守る必要があります。
自身で行うブラッシングだけではセルフケアとして不十分なケースがあるため、可能なかぎり歯科医院で定期的に口内の状態を診てもらうのが望ましいです。
規則正しい食生活を心掛ける
食生活を整えることは、虫歯を予防することにつながります。
虫歯は、虫歯菌が糖分をエサにして酸を産生することで引き起こされるため、糖分を多く含む食品や飲料は摂りすぎに注意が必要です。
間食の習慣がある人は口内が虫歯になりやすい状態が長くなるため、だらだらと時間をかけて食べるのは避け、時間を決めて取るようにしましょう。
食事や間食のあとは菌が残らないようにこまめにブラッシングを行い、時間がない場合は口だけでもすすぐようにしましょう。
定期的に歯のメンテナンスを行う
歯を健康に保つには、定期的に歯科医院を受診して状態を確認してもらうのがおすすめです。
歯のメンテナンスを受けることで、自分では気が付かない虫歯・歯周病や、歯茎や歯の根元の状態など細かい部分の様子を把握できます。
虫歯や歯周病は自覚しないうちに発生しているリスクがあるため、異常がなくても定期的に歯科医院に通い、早期発見に努めましょう。
正しい方法でセルフケアを行う
自分の歯を長く保存するためには、正しいセルフケアで口内を清潔に保ちましょう。
毎日歯磨きをしていても、間違った方法で行っていては効果が薄れてしまいます。
一度歯科医院で指導を受けてブラッシングの方法を見直し、しっかりきれいにできる技術を習得することで、今後の口腔ケアを効果的なものにできます。
歯ブラシで取り切れない汚れや届かない部分のケアには、歯間ブラシやデンタルフロスなどのオーラルケア用品を活用するのがおすすめです。
歯にこびりついた歯石は無理に取ろうとすると歯や歯茎を傷付ける可能性があるため、必ず歯科医院で除去してもらいましょう。
喫煙習慣を見直す
喫煙は歯周病のリスクを高め、さらには全身の健康を脅かす危険があるため、禁煙に努めましょう。
既に歯周病を発症している場合、喫煙習慣があると治療の進みが遅くなる傾向があります。
さらに喫煙や歯周病は、インプラントを埋入する手術をした際の回復速度にも影響を及ぼします。
インプラントにはメーカー保証があり、日常生活のなかでやむを得ない事情でインプラントが破損した際、一定の条件を満たしている場合に限り無償で再治療が可能です。
その条件のなかには、「歯科医院の指示に従って禁煙をしているか」が含まれることがあり、喫煙しているとインプラントの保証が受けられなくなってしまうケースもあるため注意しましょう。
インプラント治療中はほぼ必ず禁煙を指示されるため、これを機にタバコを辞めるのが望ましいです。
不正咬合の治療をする
歯を健康な状態で長持ちさせるためには、不正咬合の治療をしましょう。
歯並びが乱れていると、ブラッシングが行き届かない隙間に汚れが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病になりやすくなります。
また不正咬合は歯に無駄な力が加わり損傷するリスクがあるため、歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は要注意です。
噛み合わせのバランスが悪いと顎や口に負担がかかり、肩こりや頭痛などの症状を引き起こす可能性もあるため、早めに治療しましょう。
まとめ
インプラントが保険適用になるケースはあまりなく、ほとんどが自費診療での治療になります。
高額ではあるもののインプラントは審美性に優れた歯が手に入るため、お悩みの人は費用を抑える工夫を参考に検討してみてください。
AKIデンタルクリニック・矯正歯科医院では、患者さん一人ひとりのインプラントの治療からメンテナンスまでを経験豊富な歯科医師がしっかりサポートします。
大切な歯を失ってしまった方も、インプラント治療では美しさと機能性を追求した治療が可能です。
初めてで不安な人も、一度お気軽にご相談ください。