

インプラントにはメンテナンスが必要?内容や頻度・セルフケアのポイントを解説
medical columnインプラントは顎の骨に埋め込むことで噛む機能を回復させる人工歯で、審美性や機能性に優れているのが特徴です。
手入れを怠ると寿命が縮まってしまう可能性がありますが、メンテナンスをしながら大切に扱うことで長く使用できます。
この記事では、インプラントを長持ちさせるための方法やメンテナンスの重要性などを紹介します。
インプラントを検討している人や、定期メンテナンスについて知りたい人は参考にしてください。
インプラントにメンテナンスが必要な理由
以下の理由から、インプラントは定期的なメンテナンスが大切です。
トラブルを未然に防ぐため
インプラントのメンテナンスは、口腔内のさまざまなトラブルを未然に防ぐのに有効です。
インプラントは天然の歯ではないため患者さん本人がトラブルに気付きにくく、早期発見のためにも定期的な歯科医院の受診が必要です。
また、インプラント本体が虫歯になることはありませんが、インプラントに蓄積した汚れが原因で周囲の歯の健康が損なわれる可能性があります。
口腔内全体を清潔に保ち、虫歯や歯周病を予防するためにもメンテナンスを疎かにしないように注意しましょう。
インプラントを長く使用するため
メンテナンスを受けることでインプラントの寿命を延ばし、長く使用することが可能です。
インプラントを固定する人工歯根は時間をかけて骨と結合するため、埋入の過程で硬いものの咀嚼や食いしばりによって強い力が加わると、定着が不安定になる場合があります。
またインプラント周囲炎になると、インプラントと歯の結合が阻害される可能性があるため、適合具合を定期的にチェックするためにもメンテナンスが欠かせません。
メーカーの製品保証を受けるため
インプラントのメーカー保証を受けるためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
インプラントには基本的にメーカー保証がついていて、定められた期間内にインプラントの破損や不具合が発生した際には交換できます。
しかしインプラントのメーカー保証を受けるためには、定期メンテナンスを受診することが条件として定められています。
定期メンテナンスを怠った場合のほか、故意や過失が原因でインプラントを破損した場合や、歯科医院の指示に従わなかった結果インプラントが使用不可能になった場合はメーカー保証を受けられません。
保証期間は10年ほど設けられているケースも多いため、破損した際に自己負担になって損しないよう計画的にメンテナンスを行いましょう。
インプラントのメンテナンスをしないとどうなる?
インプラントのメンテナンスをしないと、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
インプラント周囲炎を引き起こす
インプラントのメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが発生します。
インプラント周囲炎とは、周辺の組織に歯周病菌が影響を及ぼしている状態です。
歯茎の腫れ・出血などの症状がみられ、悪化すると歯槽骨の破壊によるインプラントの脱落につながる恐れがあります。
自覚症状が少ないインプラント周囲炎は、気が付いた時には治療が難しい状態になっている可能性があるため、早期発見と対策が重要です。
インプラントに不具合が生じる
メンテナンスを受けないと、インプラントに生じた不具合に気付くのが遅れる可能性があります。
インプラントはメンテナンス次第で長く使える人工歯ですが、使用期間が長くなるほど不具合が生じやすくなるため、定期的なメンテナンスで状態を確認することが大切です。
また歯ぎしりや食いしばりが強い人の場合、人工歯根と被せ物をつなぐスクリューに緩みが生じやすくなります。
こういった不具合を早めに発見し、その都度修繕していくことでより長くインプラントを使用できるのが望ましいです。
噛み合わせに問題が発生する
インプラントのメンテナンスを怠ると、噛み合わせのバランスが崩れる恐れがあります。
治療直後に噛み合わせが正常に機能していても、時間が経過するうちに少しずつずれたり、不具合が生じたりする可能性があります。
無意識な食いしばりや舌で歯を押す癖などがあると不正咬合になりやすく、咀嚼機能に支障をきたすリスクがあるため、定期的なメンテナンスで噛み合わせのバランスをチェック・調節することが大切です。
インプラントのメンテナンス内容
インプラントのメンテナンスでは、以下のチェックや指導を行います。
口腔内のチェック
口腔内の衛生状態やインプラントに不具合がないかの確認を行います。
そのほか、虫歯・歯周病の有無や歯茎の状態などもチェックし、必要であれば治療を行います。
メンテナンス時の口腔内チェックは、細かいところまで念入りに確認するため、普段から丁寧にオーラルケアをするよう心掛けましょう。
レントゲン検査
口腔内チェックの際に、必要に応じてレントゲン撮影を行う場合があります。
顎骨の異常の有無や歯の根元の状態を検査し、インプラントの定着具合を確認します。
歯科用のレントゲン検査は被ばく量が少なく、通院のたびに受ける必要はないため身体にかかる負担は少ないです。
歯のクリーニング
プラークやステインなど、セルフケアでは落としきれない汚れをクリーニングにより除去します。
歯垢が石灰化してできるプラークや、歯に付着した黄ばみや黒ずみなどのステインは、通常のブラッシングや自身で行うセルフケアでは除去できません。
そのため、メンテナンス時に歯科医院で取り除いてもらう必要があります。
インプラントにもプラークやステインが付着する可能性があるため、口腔内全体を衛生的に保つためにもメンテナンスを怠らないようにしましょう。
セルフケア指導
インプラントを長持ちさせるためには、歯科医師の指導に従い適切な方法でセルフケアをすることが大切です。
歯磨きの仕方には個人によって異なり、磨き残しが発生するブラッシング方法が癖づいている可能性があります。
患者さん一人ひとりに合わせた適切なブラッシングのアドバイスを行い、虫歯やインプラント周囲炎の予防に努めます。
メンテナンス時のクリーニングのみを頼りにせず、自身で効果的なセルフケアを行うことが大切です。
噛み合わせのチェック・調整
インプラントのメンテナンスでは、噛み合わせの確認や調節も行います。
噛み合わせのバランスが乱れているとインプラントに負荷がかかり、破損やストレスにつながる恐れがあります。
噛み合わせは少しずつずれていくケースがあるため、定期的にチェックして適切な状態で保つことが大切です。
インプラントのメンテナンスの頻度
インプラントのメンテナンスの適切な頻度は、3〜6ヶ月に1回です。
インプラント治療完了後の最初の時期は短い間隔での受診が推奨されますが、その後の受診頻度は、口腔内の状態やインプラントの種類を考慮したうえで歯科医師が判断します。
人によって長かったり短かったりするため、歯科医師に相談のうえ指示された頻度で受診しましょう。
インプラントのメンテナンスを受けないとメーカーの製品保証が受けられず、万が一破損したり抜け落ちたりした場合に金銭的な負担が大きくなる可能性があります。
自分で異常がないと感じる場合や、虫歯や歯周病がない場合でもメンテナンスは欠かさず受けることが大切です。
インプラントのセルフケアを行う際のポイント
インプラントのセルフケアを行う際は、以下のポイントを参考にしましょう。
適切な方法でブラッシングを行う
メンテナンス時の指導に従って、適切な方法でブラッシングを行いましょう。
インプラントに傷をつけないように、ふつう・やわらかめの歯ブラシで歯茎の境目までしっかり磨くことが大切です。
インプラントを含むすべての歯を一本ずつ磨くイメージで、順番を決めてブラッシングを進めると磨き残しが出にくくなります。
研磨剤を含まない歯磨き粉を選択する
研磨剤や顆粒入りの歯磨き粉は、インプラントを傷付けるリスクがあるため避けましょう。
市販の歯磨き粉の選択に悩む場合は、歯科医師に相談したり歯科医院で売られている歯磨き粉を購入したりするのがおすすめです。
歯磨き粉に含まれる顆粒はインプラントに傷をつける懸念があるほか、小さな隙間に入り込み炎症を引き起こすおそれがあります。
虫歯や歯周病の予防に効果的なフッ素を配合した歯磨き粉はインプラントにも使用できるため、積極的に取り入れましょう。
歯間ブラシやデンタルフロスを活用する
歯ブラシが届きにくい空間の汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシを利用して除去しましょう。
歯ブラシでどれだけ丁寧に磨いても、磨ききれない部分に汚れが蓄積する可能性がありますが、デンタルフロスや歯間ブラシを使用すると、80%の汚れが除去できるとされています。
それでも落としきれない汚れはクリーニングを受けることできれいにできますが、インプラントは細菌感染した際の進行が速いため、可能なかぎり自分でリスク要因を取り除くことが大切です。
インプラントのメンテナンスは違う歯医者でも受けられる?
インプラントのメンテナンスは、インプラントを入れた歯医者以外でも受けられます。
転居や歯医者の閉院が原因で通院が困難になった場合、メンテナンスを引き継いでくれる歯医者を新たに探しましょう。
ただし、インプラント治療を取り扱っている歯医者ならどこでもメンテナンスの引継ぎができるわけではありません。
例えば、使用しているインプラントのメーカーを転院先の歯医者で取り扱っていない場合や、他院で埋入したインプラントのメンテナンスはトラブル回避のために断る方針の歯医者の場合は、引継ぎが難しい可能性が高いです。
そのため歯医者を変える場合は事前に確認し、インプラントのメンテナンスが受けられるところを選択しましょう。
メンテナンスを違う歯医者で受ける際の注意点
インプラントのメンテナンスを違う歯医者で受ける場合は、以下の点に注意しましょう。
インプラントの保証が受けられなくなる
メンテナンスを受ける歯医者を変更すると、インプラントの保証が受けられなくなる可能性があります。
場合によっては対応可能なケースもありますが、インプラントのメーカー保証は基本的に治療を行った歯医者でのみ有効です。
そのため、転院先でメンテナンスの引き継ぎに承諾してもらえても、保証を受ける権利がなくなるケースがあります。
保証については必ず事前に確認しておきましょう。
メンテナンスの質が変わる可能性がある
歯科医院によって、インプラントのメンテナンスの質が異なる可能性があります。
インプラントは繊細な製品なため、メンテナンスの質は歯科医師の経験や技術によって左右されます。
同じメーカーのインプラントを取り扱っている場合は、メンテナンスの引継ぎを承諾してくれる可能性が高まりますが、歯医者の実績やカウンセリングの質などを総合的に考慮して判断しましょう。
メンテナンスを放棄しない
かかりつけの歯医者に通えなくなったとしても、インプラントのメンテナンスは放棄せずに続けましょう。
インプラントがある生活に慣れてくると、メンテナンスが必要ないと感じるケースがあり、転居をきっかけに通わなくなる人もいます。
しかし、放置することで起こり得るトラブルのリスクを考えると、メンテナンスをやめることは危険です。
インプラントは適切にメンテナンスをして大切に扱っていれば、20年以上使い続けられるケースもあります。
信頼できる歯医者を見極め、長く付き合っていけるように努めましょう。
まとめ
審美性や機能性に優れたインプラントですが、長く使い続けるためには定期的なメンテナンスを受け、健康な状態を保つことが大切です。
インプラントは虫歯にはなりませんがインプラント周囲炎になるリスクがあり、他の歯に影響を及ぼす可能性もあるため、正しい方法でケアしましょう。
大阪天王寺のAKIデンタルクリニック・矯正歯科医院では、患者さん一人ひとりに合わせたインプラント治療のプランニングを行い、経験豊富な歯科医師による治療を提供しています。
治療に要する期間や費用も詳細に提示し、患者さんの不安に寄り添った対応を目指します。
インプラントをすでに入れている人も、これから入れようと考えている人も、お気軽にご相談ください。