矯正歯科に通う期間はどのくらい?早くできる?長くなる理由も紹介
medical column歯列矯正というと、『何年もかかって大変そう』というイメージがあるかもしれません。
実際にどれくらいの時間がかかるのか、知っていますか?
矯正期間は、イメージしていたよりも短くなるケースがあるのです。
逆に長くなることもあり、どうしてなのか両方の理由などを紹介します。
矯正にかかる年単位の時間を早めるために、何かできることはあるかと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
歯の矯正にかかる期間は3~4年程度
歯の矯正は、全体で3~4年程度かかります。
これは、歯を動かす矯正期間と歯を安定させる保定期間を合わせたトータルの期間です。
歯の矯正にかかる時間が決まる要因は以下のようなものがあげられます。
- 『矯正期間』と『保定期間』
- 全体矯正と部分矯正
- 矯正器具による矯正期間の違い
これらが組み合わさり、矯正期間の違いが出てきます。
あくまで目安となり、一人ひとりの状況で変わってくるため、歯科医師とよく相談して矯正計画を立ててもらってください。
ここからは、歯の矯正にかかる時間が変わる要因を、詳しく見ていきましょう。
『矯正期間』と『保定期間』
歯列矯正には『矯正期間』と『保定期間』に分けられ、矯正が終わるというのは両方合わせた期間が終わるということになります。
全体では3~4年ほどかかりますが、それぞれどのようなことをする期間なのか、どう違うのかを解説していきます。
歯を動かす『矯正期間』
歯列矯正のうち、矯正装置を装着して歯を動かすのにかかる期間のことを、『矯正期間』と呼びます。
矯正期間は1~2年半ほどですが、あくまで目安です。
治療の期間は患者さんの歯の並びや口内状況、治療範囲、使用する矯正器具などでも変わってきます。
動かした歯を安定させる『保定期間』
矯正装置を外した後、動かした歯を安定させる期間を『保定期間』と呼びます。
矯正により動かした歯は、何もせずにいると元の位置に戻ってしまう「後戻り」が起こるため、後戻りを防ぐために保定期間が必要なのです。
リテーナーという保定を目的とした装置を装着し、目安としては2年ほどかかります。
きちんと保定期間をとることで、矯正で動かし整えた歯並びを安定させる大事な期間です。
全体矯正と部分矯正による期間の違い
歯列矯正には全体矯正と部分矯正があり、矯正歯科では患者さんに適した治療を選んで矯正計画を立てます。
かかる期間も異なりますが、どちらの治療になるかは症状の程度にもよるため、患者さんの希望通りとはいかないかもしれません。
ここでは主に期間について、2つの違いを解説していきます。
全体矯正の場合は期間が長くなる
全体矯正とは、奥歯を含めた歯並び全体を動かすことができる矯正です。
噛み合わせが悪いという悩みにも対応できて、全体的なバランスを整えながら矯正を進めます。
治療期間は選ぶ装置や歯並びの乱れ方などで変わりますが、1~3年が目安です。
範囲が全体のため、期間が長くなる傾向があります。
部分矯正の場合は短くできる
部分矯正とは、前歯だけなど歯列の一部だけを治療する矯正方法です。
正面から見える歯並びが気になるなど軽い症状に適していて、噛み合わせの改善までは対応できないことがあるため注意してください。
歯を動かす範囲などにより変わりますが、期間は数ヵ月~1年ほどが目安となります。
動かす対象が部分的で距離も短いため、期間は比較的短くなる傾向です。
矯正器具による矯正期間の違い
歯列矯正のための矯正器具は種類があり、それぞれの器具により矯正期間にも違いが出てきます。
症状に合わせて適した矯正器具を使う必要があるため、希望がある場合は歯科医師とよく相談しましょう。
矯正器具による特徴や期間の違いについて知り、選択の参考にしてください。
マウスピース矯正
取り外しができる透明なマウスピース型の矯正器具を装着して、歯を動かす矯正方法です。
マウスピース矯正の場合、症状による期間の差が大きく、数ヵ月~3年となります。
全く同じ症状だと、ワイヤー矯正の方が早い場合もあるため、歯科医師と相談しましょう。
また、複雑な症状には対応できない場合があります。
歯を少しずつ動かすために、自分でマウスピースの交換を行ったり、決められた装着時間を守ったり、自己管理が必要です。
決められた時間装着したままにする必要がありますが、食事や歯磨きのときに外すことができるのはメリットでしょう。
透明で目立たないマウスピースのため、接客業や営業など矯正を目立たせたくない人や、周囲に知られたくない人に向いています。
ワイヤー矯正 表側矯正
歯の表面にブラケットという器具を取り付け、ワイヤーを通して圧をかけて歯を動かしていく矯正方法です。
歯を動かせる距離が大きく、かかる矯正期間は1~3年ほどです。
長い歴史があり判例も多く難しい症例にも幅広く対応できて、歯を動かすスピードは早いですが、複雑に動かす必要があると時間はかかります。
装置は自分で取り外すことはできず、調整も矯正歯科で行うため、1ヵ月ごとの通院が必要です。
ワイヤー矯正 裏側矯正
歯の裏側にブラケットとワイヤーなどの矯正器具を取り付けて歯を動かしていく方法です。
表側矯正と期間の差はほとんどなく、1~3年ほどかかります。
表側矯正と同じく、さまざまな症例に対応できる矯正方法です。
目立ちづらいですが、歯の裏側に取り付ける技術が必要となるため難易度が高く、表側矯正より費用がかかる場合もあります。
矯正が早く終わるケース
矯正歯科でのカウンセリングでは、矯正治療にかかる期間の目安を教えてもらうことができます。
しかし、必ずその期間ぴったりで終わるわけではなく、さまざまな要因で早くなったり、延びてしまったり、治療期間は変わることがあります。
ここでは、矯正が早く終わるケースについて説明していきます。
歯科医の指示をきちんと守る人
計画通り、または早く矯正を終えたいならば、歯科医師の指示をきちんと守りましょう。
歯列矯正は歯科医師側だけでなく、患者さん側の協力や努力が必要な治療です。
例えばマウスピース矯正の場合、マウスピースの装着時間や装着方法を守れるかどうかは、治療期間に大きく影響します。
マウスピースの場合は、1日の装着時間の決まりや正しい装着方法など、治療の進み具合が自己管理にかかってくるため、指示をきちんと守らなければなりません。
また、矯正の進行度確認や調整を行う必要があるため、通院を決められた通院頻度を守るのも重要です。
マウスピース矯正は患者さん自身が決められた期間で交換しますが、歯の動きを確認するために1~3ヵ月ごとの通院が必要です。
ワイヤー矯正の場合は、歯科医師による器具の調整が必要なため、1ヵ月に1回の通院頻度となります。
もしも通院日を守れなかった場合、当初の計画通りに歯を動かせなくなり、治療期間が延びてしまう可能性があるため注意してください。
年齢が若い人
年齢が若い人は新陳代謝が活発で歯が動きやすく、歯列矯正が早く終わる傾向があります。
小中学生などの成長段階であれば、顎や歯の周辺組織が柔らかいため、矯正の効果が出やすく顎の形も整いやすいという条件も加わります。
ただし、だからといって全ての人が子どものうちに矯正をした方がいいというわけではありません。
歯並びや顎の広さにより、成長を待って永久歯が生え揃ってから矯正を始めた方がいい症例もあるため、まずは矯正歯科で相談してみましょう。
若い方が歯が動きやすいとはいえ、大人になってから矯正を始める人も多く、口内が健康で問題なければいつからでも矯正は可能です。
抜歯をしなくていい人
矯正のための抜歯をしなくていい人も、矯正期間が早く終わります。
抜歯をすると歯の移動距離が増え、治療期間が長くなる傾向にあるためです。
元々の歯並びの状態でスペースが十分だと診断された人は、抜歯をせずに矯正が始められて、治療が早く進むでしょう。
ただし、歯をきれいに並べるスペースを確保するための抜歯が必要なケースもあります。
抜歯が必要かどうかは自分で判断するのは難しいため、歯科医師に相談してください。
虫歯や歯周病がない人
矯正を始める前に、虫歯や歯周病の治療を先に済ませなければいけません。
虫歯や歯周病がなく、口内が健康であれば、すぐに矯正治療に取りかかれます。
また、矯正途中で虫歯や歯周病になると、程度によっては矯正を中断しなければならないかもしれません。
ワイヤー矯正だと装置を外して虫歯治療を優先し、虫歯治療後に改めて装置をつけ直すため、歯の位置が後戻りしてしまう可能性もあり、期間が長引いてしまいます。
マウスピース矯正は取り外して虫歯治療ができますが、歯の形が変わってしまうとマウスピースの調整をしなければならず、この場合も長引いてしまうでしょう。
口回りに悪い癖などがない人
口回り、舌などに悪い癖がない人は、歯が動きやすく矯正治療がスムーズに進み、早く治療が終わる可能性が高いでしょう。
具体的には、唇をかむ、舌で前歯を押す、頬杖をつくなどの癖です。
このような癖があると矯正の妨げになるだけでなく、矯正終了後にも後戻りしやすくなるため、直すように意識してください。
矯正を早く終わらせる方法
矯正を早く終わらせる方法には自分で努力できることもあるため、気をつけるポイントを知っておきましょう。
また、矯正期間を早めることができる技術なども紹介します。
歯科医の指示をきちんと守れる
歯科医の指示をきちんと守ることで矯正期間を早めることができます。
通院頻度・装着時間などの指示は、矯正をスムーズに進めるために出されるもので、守らないと治療の期間が延びてしまうだけでなく、トラブルが起きてもすぐに対処できないという事態にもなりかねません。
また、ブラッシングで気をつける点や食べ物についての指示がある場合も、きちんと守るようにしましょう。
矯正計画に沿って歯が動いて整っていけば、結果的に早く矯正を終えることにつながります。
虫歯予防する
矯正治療中に虫歯や歯周病になってしまうと、矯正を中断して虫歯治療を優先しなければならない可能性があり、矯正期間が長引いてしまいます。
ワイヤー矯正の場合、矯正装置をつけているとブラケットやワイヤーの隙間に食べ物が挟まりやすく、汚れを落としづらい状態のため、歯磨きはしっかり丁寧にしなければなりません。
丁寧にブラッシングをして、フロスや専用のブラシを使い口の中を清潔に保ちましょう。
マウスピース矯正では、毎食後の歯磨きと装置の洗浄が重要です。
磨き残しや装置が汚れていると、通常なら唾液で流れるような汚れでもマウスピースをはめていることで汚れが留まってしまいます。
口内環境を健康に保ち虫歯や歯周病を予防すれば、矯正期間が長引かずに済むのです。
歯列矯正期間を早める技術
矯正期間を早める方法として、期間を早める技術を利用するという方法もあります。
ここでは代表的な技術を紹介しますが、矯正方法を決める前に技術を扱っている歯科医師にきちんと相談しましょう。
ただし、矯正歯科医院によっては対応してないところもあるため、注意してください。
セラミック矯正
歯を削ってセラミックを被せ、見た目を整える治療のことです。
歯を動かして歯並びを整える矯正と違い、歯を移動させる期間が必要なく治療を終えられます。
ただし、見た目を整える過程で健康な歯を削ることでリスクもあるため、治療方法については歯科医師とよく相談してください。
セルフライゲーションブラケット
一般的なワイヤー矯正のブラケットと違い、ゴムやワイヤーで止めなくて良いブラケットです。
従来のブラケットではワイヤーとの摩擦が歯を動かす妨げとなっていましたが、セルフライゲーションブラケットは摩擦が軽減されるため、弱い力で持続的に矯正力をかけられます。
症状にもよりますが、矯正期間や通院回数が少なくできる可能性がある技術です。
アンカースクリュー
医療用の人体に害のない素材でできたねじを骨に埋め込み、矯正力をかけられるようにする矯正方法です。
従来の方法では治療が難しかったり、外科的手術が必要だったりという症例でも、通常の矯正装置で対応できる可能性がある技術ですが、症状によっては使用できないこともあります。
骨にねじを埋め込むことで、矯正の固定源ができて歯に力をかけられるようになり、移動が早くなるため、矯正期間の短縮が可能です。
オルソパルス
オルソパルスとは、マウスピース矯正の治療期間を早めるための装置です。
1日10分程度、近赤外線の光を口の中に当てて歯の周りの組織を活性化させ、骨代謝を促します。
通院することなく自宅でできるため、手軽で続けやすいでしょう。
歯が動くスピードが早くなり、マウスピースを新しく交換する期間を通常よりも早いサイクルにできる可能性があり、矯正期間の短縮につながります。
また、オルソパルスには骨や軟組織の再形成を促すため、個人差はありますが矯正につきものだった痛みの軽減への効果も期待できます。
コルチコトミー
コルチコトミーは歯槽骨皮質骨切除術と呼ばれる外科手術のことで、ワイヤー矯正に追加する手術です。
歯の骨に切れ目を入れて、ワイヤー矯正のスピードを短縮する目的で行われます。
歯が動くタイミングと、骨の切れ目を入れた表面が回復するタイミングを合わせることにより、矯正期間を短くしたり、後戻りをしにくくしたりの効果があります。
まとめ
矯正期間は装置や症状によって変わる以外にも、さまざまな要因で早まったり長引いたりするものです。
計画通りに進めるためには、歯科医師と患者さん双方の力が必要となります。
また、早く終わる人の条件の他にも、自身で気をつけることで矯正期間を早められる可能性もあるため、この記事を参考にしてください。
従来の方法よりも歯列矯正期間を早める技術もあり、『歯列矯正は時間がかかる』というイメージは変わってきています。
歯並びの状態や口内の状況、かけられる時間、予算などは人それぞれ違うため、自分に合った矯正方法を矯正歯科に相談しましょう。
AKIデンタルクリニック・矯正歯科医院は、矯正期間を早める方法であるオルソパルスに対応しております。
矯正診断は無料で行っているため、マウスピース矯正の矯正期間短縮に興味のある方は、ぜひAKIデンタルクリニック・矯正歯科医院へお気軽にご相談ください。