小児矯正を第一期でやめるのはあり?やめる際の注意点
medical column小児矯正は子どもの将来のため、歯並びの改善を考えて行う家庭が多いでしょう。
第一期のみでやめることになる理由は人によりますが、歯科医師からの提案以外に保護者の方の判断に委ねられる場合もあります。
まずは歯科矯正の必要性を考え、やめたらどうなるのかを知ってください。
この記事では、小児矯正を第一期だけでやめても問題ないのか、さまざまな角度から解説します。
子どものためにはどうしたらいいのか、迷っている方はぜひ参考にしてください。
小児矯正には第一期と第二期がある
小児矯正には第一期と第二期があり、それぞれ目的が違います。
第一期は6~12歳までの乳歯と永久歯が混在する時期に行われ、永久歯がきれいに生えてくるよう土台を整えるのが目的です。
直接歯を動かすのではなく、顎の骨を広げバランスを整えて、永久歯が生えるスペースを確保します。
矯正装置はマウスピースなど多くは取り外しができる器具ですが、装着時間の確保や歯のメンテナンスなど保護者の方のサポートが多く必要です。
また、指しゃぶりや舌、唇に関わる癖を改善し、歯並びへの影響を少なくする効果もあります。
一方、第二期は12~13歳以降に行われ、成人矯正とほとんど同じ治療が行われます。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正で歯並びを整える治療です。
矯正治療は保険適用外で全額自費負担となり、治療を続けるかの判断が必要になりますが、第一期から継続する場合は土台が整っているため期間が短く済み費用も少なくなる可能性があります。
第一期、第二期いずれも子どもへの負担がかかり、いつから始めるか、どこまでで終わるか悩みもあるでしょう。
「やらなきゃよかった」と後悔しないよう、目的や効果と共に、期間や費用面も把握しておくのをおすすめします。
小児矯正を第一期でやめる理由
顎の骨を拡大して土台を整える第一期までで、小児矯正をやめる人もいます。
大きく分けると、以下の4つの理由です。
通院が困難になった
保護者の方の転勤で引っ越し、転校などで通院が困難になってしまう事情もあるでしょう。進学や留学で子ども自身が通えなくなり、第一期でやめるケースも多いです。
引っ越し先で別の矯正歯科に通う選択肢もありますが、引継ぎなどで治療費が高くなってしまう可能性があります。
また、通っていた矯正歯科が家から遠いなどの場合、子どもの学年が上がり習い事などで忙しくなったり、保護者の方の仕事が忙しくなったり、通院時間が確保できなくなることもあります。
費用負担が困難になった
第一期でかかる費用は、20~60万ほど必要となり、先天性疾患などの事情を除きほとんどの場合が全額自己負担となります。
治療期間の2~3年で支払うため、年間20万ほどの支払いが発生します。
当初は支払えても、仕事の都合や子どもの学年が上がるにつれ経済的な余裕がなくなってしまい、費用負担が困難になると治療をやめなければいけません。
歯科医院によっては分割払いやデンタルローンなど、負担を軽減できる支払方法もあります。
あらかじめ支払い計画を立てておき、費用を確保して余裕をもって治療できるよう考えておく必要があるでしょう。
子ども自身の意思
矯正装置をつけるのは子どものため、子ども自身が負担を感じてやめたいと言うパターンもあります。
第一期で約2~3年かかり、治療を続けるとなれば個人差はありますが、第二期で数年は器具を装着しなければなりません。
食事の制限や歯磨きの手間、装置の煩わしさにストレスを感じるなどの理由から、第二期まで続けるならばまだ数年かかるとなると、子ども自身がやめたいと言い出すケースも多いです。
効果が感じられなかった
保護者の方が第一期で期待していた効果が感じられなかったという理由で、治療をやめるケースもあります。
効果を感じられなかったのにはさまざまな理由が考えられますが、矯正器具が正しく装着できていなかった、装着時間を守れていないなどの要因も考えられます。
効果を感じられないまま歯列矯正を続けるのは子どもにも保護者の方にも負担になるため、第一期でやめるかどうかは、矯正医師とよく相談して決めましょう。
セカンドオピニオンを受けるのも1つの方法です。
小児矯正を第一期でやめてもいいケース
小児矯正を第一期でやめてもいいケースもあります。
ここではどのような理由でやめてもいいのか、詳しく解説していきます。
歯科医師の判断によるもの
歯科医師の判断により、第一期の矯正で歯並びが改善していて、第二期の治療が必要ないと判断した場合、第一期のみで治療が終了することもあります。
- 顎の発育が順調で永久歯の土台がきちんとできている
- 永久歯が真っすぐ生えている
- 噛み合わせに問題がない など
歯科医師がこれらを総合的に見て、第一期のみで終了しても良いと判断した場合です。
ただし、成長に伴い親知らずが生えたり、永久歯が予想外の生え方をしたり、歯並びが変わってしまう可能性はあります。
第一期で終了とされていても、その後の経過を保護者の方が見極めるのは難しいため、定期検診を受けて歯科医師に相談しましょう。
子どもが必要性を感じていない場合
小児矯正は、保護者の方が子どもの将来のために始めることが多いものです。
もちろんスムーズな日常生活を送れるように、必要な治療の場合もあります。
しかし、子ども自身が不自由していなくて必要性を感じていないときは、やめてもいいケースに当てはまります。
ただし、悪い歯並びをそのままにすると虫歯・歯周病リスクや顎の骨格の歪みによる顎関節症のリスクが高まるなど、デメリットもあります。
第一期で矯正をやめるとどんなリスクやデメリットが考えられるのか、歯科医師と十分話し合ったうえで慎重に検討しましょう。
第一期で矯正をやめるデメリット
第一期で矯正をやめるという判断をする前に、やめるデメリットを知っておきましょう。
ここでは、第一期でやめるとどのようなデメリットがあるか、説明します。
小児矯正はその時しかできない
小児矯正は6~12歳という対象年齢が決まっており、成人矯正とは違い貴重な期間と言えます。
乳歯から永久歯に生え変わる時期で、歯や顎も成長途中であり、将来生えてくる永久歯のスペースが整えやすいのです。
痛みも少なく済むことが多く、第二期で歯の移動距離が短くなり期間が短縮できる可能性もあります。
小児矯正は骨格が柔軟な成長期であるからこそできるということを、覚えておいてください。
歯並びが元に戻る
第一期の矯正は、永久歯が生えてくるスペースを確保する土台を作る目的で行われます。
成長期である幼児~低学年の時期は骨格が柔軟なため、第一期の矯正で土台を整えやすいですが、やめてしまうと柔軟であることで元に戻ってしまう可能性があります。
歯並びを整えるためには、第一期で土台を作り、第二期で歯の位置を調整する必要があり、第一期のみでは歯並びを整えるまでは至りません。
顎の骨が広がることでスペースが広くなり歯並びが良くなったと感じたとしても、永久歯が生え揃った、矯正の力がかからなくなり歯並びが戻ったなどの理由から、元に戻る可能性があるのです。
顎関節症になりやすくなる
第一期で矯正をやめることにより永久歯の生え方が悪くなった場合、歯並びや噛み合わせがよくないと、顎関節症になるリスクがあります。
顎関節症は、顎の筋肉や靭帯の異常により発症する病気です。
酷い症状の場合は口を開けるときに痛みを感じる、違和感があるなどで、食事がしづらくなる可能性もあります。
また、食べ物を噛むときにも痛みがあるため、痛い方の顎をかばう癖がついてしまうと、歯並びが乱れてしまう原因になるでしょう。
顎関節症は癖になる病気で、治ったと思っても大人になってから繰り返すこともあります。
痛みが発生する可能性がある
小児矯正を第一期だけでやめてしまうと、顎の骨格の歪みなどが残ったままになり、後々に痛みが発生する可能性があります。
顎の骨格が柔軟な時期にかけていた矯正の力をやめることで、成長期や元に戻ろうとする過程で土台が歪んでしまうなど、不測の事態になってしまうケースも考えられます。
第二期の矯正を行うことで歯並びを定着させて歪みを解消できるため、第一期でやめるとリスクがあるのは覚えておきましょう。
第一期だけでやめる場合の注意点
小児矯正を第一期だけでやめる場合、注意しなければならない点がいくつかあります。
やめて後悔しないためにも、注意点についても理解しておいてください。
「再開」ではなく「最初から」
一度小児矯正を第一期でやめて、やっぱりまた始めたいと思い直すこともあるかもしれません。
その場合、やめた時点からの「再開」ではなく、「最初から」になるケースが多いでしょう。
やめてからまた始めようとする期間で、成長に伴い歯並びが変わっているため、当初の治療計画と同じではなく最初から計画の練り直しになる場合がほとんどです。
やめる前までの治療期間やかかった費用が無駄になり、また最初からやり直しになる可能性が高いという点に注意してください。
第一期だけでは理想の歯並びになるとは限らない
第一期では、永久歯が生えてくる土台を整えるのが目的のため、永久歯がきれいに生え揃う保証はありません。
顎の骨のバランスが整って土台ができたとしても、永久歯が生える段階で歯並びが乱れる可能性があります。
また、広がった顎が元に戻ってしまうこともあり、治療前の状態にまで戻ってしまえば理想の歯並びになるのは難しいでしょう。
歯並びの最終的な位置を調整するのは、第二期の治療です。
第一期では歯の位置を細かく決定するまではできないため、成長に伴い経過を観察して第二期の矯正治療が必要になることもあります。
子どもの意思でやめる場合は無理強いしない
保護者の方が小児矯正を続けたいと思っても、子どもがやめたいと言い出した場合、対応に気をつけてください。
理由を聞かずにただ「必要だからやりなさい」と押しつけてしまっては、その後の治療がスムーズにいかなくなるだけでなく、親子関係もぎくしゃくしてしまうこともあります。
歯科医師に対する恐怖や、治療の不安、痛みがある、どうして必要なのかわからないなど、子どもなりの理由があるはずです。
やめたい理由を丁寧に聞いて、子どもの気持ちを尊重したうえで話し合うのが大事です。
歯科医師に相談して、歯列矯正の必要性をわかりやすく説明してもらい、子どもが納得すれば続ける選択肢もあります。
ただし、無理強いして子どもにストレスを与えてしまわないように注意しましょう。
子どもの意見を踏まえて歯科医師とも相談し、治療をやめるか継続するかを決めてください。
まとめ
小児矯正は第一期から第二期の治療を継続するのを前提としています。
第一期で永久歯が生えてくる土台を準備して、第二期で歯並びを整えるイメージです。
第一期のみで矯正を終えるのには、人それぞれの理由があります。
小児矯正では保護者の方のサポートも必須のため、親子共に負担がかかりますが、子どもの将来のためにどうしたらいいかを考えてみましょう。
やめると決める前に、小児矯正の必要性をよく考えデメリットや注意点を理解して、歯科医師と相談しましょう。
AKIデンタルクリニック・矯正歯科医院では、歯科医院を怖がらないところからが治療という理念を元に、常駐の幼稚園教諭スタッフによる授業形式で歯科医院に慣れてもらうところから始めます。
お子さまが歯科医院への不安や怖さを感じている場合や、小児矯正が必要かわからなくて相談したい保護者の方は、お気軽にAKIデンタルクリニック・矯正歯科医院へご相談ください。
保護者の方にも歯についての知識を身につけていただき、お子さまのお口の健康を一緒に考え、アドバイスさせていただきます。