インプラントにかかる費用はどれくらい？1本あたりの相場も紹介

人工歯の種類で費用は変わる

インプラント1本あたりの費用相場に差がある理由は、人工歯の種類によって費用が変わるためです。以下の表は、人工歯の種類と費用の例です。

このように人口歯の種類によって価格が異なるため、1本あたりの金額が高いからといって、相場より高いとは限りません。
インプラントの費用をチェックする際には、人工歯の種類も事前に確認しておきましょう。

治療する歯の位置によって異なる

インプラント治療にかかる費用は、治療する歯の位置によって異なる場合があります。
特に見た目が重視される前歯は奥歯に比べると審美性が求められるため、使用する材料や仕上げの色、形の精密さが重要です。
そのため、奥歯に比べると前歯のインプラントの方が高くなることがあります。

また、同じインプラントを使用する場合においても、前歯は奥歯に比べると骨が薄いことが多く、骨造成が必要になることで追加費用がかかるケースもあります。
骨造成とは骨を人工的に作ったり、増やしたりする治療のことです。
骨造成費はインプラント治療1本あたりの金額に含まれておらず、必要になった場合は相場よりも高くなる場合もあるため注意しましょう。

クリニックによって費用が異なる理由

インプラント治療にかかる費用はクリニックによっても異なります。
これは保険診療のように全国一律で決まっているわけではなく、自由診療であることから、歯科医院ごとに費用や内容が異なるためです。
一律の価格がなく歯科医院ごとに価格を自由に設定できるため、インプラントの価格相場に大きな違いが生じます。
「歯科医院が自由に料金を設定できるなら、より低い価格を設定している歯科医院の方が良心的なのでは？」と思う方もいるかもしれません。

しかし、価格が低いことにはメリットばかりではなくリスクもあります。
例えば、設備投資にコストをかけていない場合や、本来なら治療費に含まれる費用を細分化して安くみせているだけの場合もあるでしょう。

インプラントの費用をチェックするときは、相場に比べて高いか低いかだけでなく、「なぜその価格なのか」という理由も大切です。

検査・診察費用

インプラント治療を受けるためには、口内の状態チェックやレントゲン撮影、血液検査などが必要です。
また、歯型の模型や口内の写真撮影、診断料なども検査・診察費用に含まれます。

検査や診察料にかかる費用はだいたい1.5～3万円ほどで、インプラント1本あたりの費用相場に検査・診察費用は含まれています。
これらの検査内容は無料カウンセリングとして行われることも多く、歯科医院によって異なるケースもあるため気をつけましょう。

また、顎の骨の状態や糖尿病、高血圧などの全身疾患がある場合は、通常のインプラント治療を受けることができないことがあり、オプションで追加料金が発生する場合もあります。
歯科医院によって検査や診察の料金や方法は異なるため、カウンセリングや追加料金の確認不足などでトラブルにならないためにも、あらかじめ確認しておきましょう。

インプラント埋入手術費用

インプラント埋入手術費用は、15～30万円が相場です。
インプラント埋入手術は、大きく分けて1回の手術をする1回法と、2回の手術をする2回法の2つのパターンがあります。

1回法は費用や体への負担、時間を抑えられることがメリットであるのに対し、2回法はほとんどの症例に対応していることや感染リスクの低さがメリットです。
一方、1回法は対応できる症例が限られていることや、顎の骨が足りないときは対応できないなどのデメリットがあります。

どちらの手術費用にもインプラント体、アパッチメント、医師の技術料、施設や器具などの使用料などが含まれています。
インプラント埋入手術は、使用する素材や医師の技量が費用に反映されやすい特徴があります。

人工歯の費用

人工歯の費用相場は、1本あたり50,000～200,000円です。

人工歯とはインプラントのかぶせ物であり、歯ぐきから出ていて口を開けると見えるパーツの部分になります。
インプラントのかぶせ物には多くの選択肢があり、それぞれで特徴や費用が異なるため、自分に適したものを選ぶことがポイントです。

なお、奥歯の人工歯は目立ちにくいため強い負荷や衝撃に耐えられるものが選ばれやすく、前歯の人工歯は目立ちやすいため耐久性や審美性が高いものが選ばれやすくなっています。
できるだけ費用が安い人工歯がいいという方もいますが、安さだけで選んでしまうと、経年劣化で見た目が早く損なわれる可能性や耐久性が低い可能性があるため注意しましょう。

保険が適用されないため

インプラント治療の費用が高い理由は、原則として保険が適用されないためです。
インプラント治療は自由診療となるため、虫歯治療や歯周病予防などの保険診療のように治療にかかる費用負担は軽減されません。

保険診療は失った歯の機能回復や疾病予防の治療に適用され、ブリッジや入れ歯も対象となっています。
インプラントにも歯の機能回復という目的はありますが、それ以上に審美的な回復の意味合いが強いため保険が適用されません。

ただし、生まれつきの疾患や腫瘍、事故の外傷によって顎の骨を連続して3分の1以上失っている場合は、保険が適用される場合もあります。
このケースだと、限られた病院や口腔外科のみでの対応となります。

インプラント体の材質が高いため

インプラント治療が高い理由は、インプラント体の材質そのものが高いからです。

インプラント体を作るメーカーは多くあり、各メーカーの製品は素材や設計、品質によって価格が大きく異なります。
一定の品質を保つためには体への適合性や耐久性などを重視し、人体と適合しやすい素材を使用する必要があるため、それだけ費用も高くなるというわけです。
また、このようなメーカーはアフターケアにも力を入れており、インプラント治療が終わった後も定期的なメンテナンスやケアが行われます。

とはいえ、アフターケアを充実させることにはメーカー側にも大きなコストがかかるため、インプラントの価格も上げなければなりません。
一方、インプラント体が安いメーカーは費用負担が少ないメリットはあるものの、使用している素材への不安やトラブルのリスク、アフターケアが受けられないなどの問題が発生することもあります。

徹底した衛生環境が必要であるため

インプラント治療が高くなる理由として、治療の安全性を高めるために徹底した衛生環境が必要になり、さらには設備投資にも多額のコストがかかる点が挙げられます。
インプラント手術は、さまざまな歯科治療の中でも高度な技術を必要とするものであり、適切な治療には、歯科用CTやインプラント手術費用の設備を揃えなければなりません。

また、感染症を防ぐために滅菌環境や清潔な設備が求められ、これらを実現するためにも多大なコストがかかります。
設備投資や衛生環境の構築にかかったコストは治療費から回収しなければならず、これらの費用が上乗せされることで費用も高くなります。
格安のインプラント治療ができる歯科医院だと、このような設備や環境が整っていない可能性もあるため、十分に注意が必要です。

インプラント治療の費用を安くする方法はない

インプラント治療の費用を直接的に安くする方法はありません。

医療機器や医師の高度な技術、設備投資、インプラント本体の費用は削ることができない必要なコストです。
無理に費用を抑えてしまうと、施術後のトラブルやアフターケアが受けられないなどの問題が発生する可能性が出てきます。

しかし、一度に支払う費用を抑える方法としては、金利によって総支払額は増えるものの「デンタルローン」や「医療ローン」などがあります。
また、複数の歯のインプラントを検討している場合は、1本よりもまとめて行う方が費用を抑えられる場合もあるため、まずは歯科医院に相談することをおすすめします。

医療費控除で所得税の還付金を受け取ることはできる

インプラント治療にかかった費用は医療費控除の対象となるため、申請することで一部の医療費が還付金として戻ってきます。医療費控除の条件となるのは、「支払った医療費が10万円以上」または「支払った医療費が総所得の5％を超えること」です。

医療費控除対象額は、以下の計算式で求めることができます。

「医療費の総額－保険金などの補填金－10万円＝医療費控除対象額（上限200万円）」

また、還付金は以下の計算式で求められます。

「医療費控除対象額×所得税率＝控除の額」

所得税率は、所得に応じて5～45％になります。

医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。過去最大5年間まで遡って申請することも可能であるため、インプラントの費用負担を軽減するためにも覚えておきましょう。